きぐるみ男とスーツの男

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きぐるみ男とスーツの男

くるくる回るメリーゴーランド。高い位置から落ちていくジェットコースター。子供達のはしゃぐ声。夏が来たにも関わらず元気な音で溢れている。限定イベントの水鉄砲やら、バケツで水を掛け合うなど涼を感じさせるイベントも行っている。だが、俺はこの暑いなかもふもふのきぐるみを着て、風船を持って手を振る。きぐるみのうさぎさんは満面の笑みを浮かべているけれど中の人、俺は汗をだらだらかいて苦渋の表情だ。バイト代がいいからと引き受けたが失敗した。もうやりたくない。 「うさぎさん!ふうせん!ふうせん!」 小さな女の子が小さな体をいっぱいに伸ばして風船をせがむ。うさぎさんは満面の笑みで女の子に風船を渡した。 「ありがとう!うさぎさん!」 うさぎさんは満面の笑みで喜ぶ女の子に手を振る。女の子は家族の元へ駆け寄って行った。 「あ!うさぎさんよ!一緒に写真撮ってもらいましょう」 家族連れがうさぎさんに気づいて母親が声を上げた、けれど男の子の表情は優れない。 「やだ!うさぎじゃやだ!!ミッキーがいいって言ったのに!!うさぎじゃやだやだやだあ!!」 地団駄を踏んで身体中でいやだと示す男の子。うさぎさんは満面の笑みで男の子を見た。     
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