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「すみません。少しよろしいですか」
声をかけられて視線を戻す。この場には不似合いなスーツを来た男性。近くに子どもがいるのかと視線を向けたが子どもの姿はなかった。
「迷子になってしまって」
ああ。子供を探しているのか。
「お子さんをお探しでしたら、迷子センターへどうぞ。ご案内し」
「喋るなぁ!!!!君は、君はゆるキャラだろう!私はふなっしーとねばーる君以外のゆるキャラが喋ることを許さない!」
喋っているのを途中で妨害された。…なんかすみません。
「それに迷子なのは私の子どもじゃない。私だ」
メガネのブリッジをあげる男性。うさぎさんはただ笑顔で男性を見上げた。失礼するよ。と男性はうさぎさんの隣に座ってきた。俺はどうしたらいいのか軽くパニックだ。迷子ならば迷子センターに案内するべきだ。でも大人で、男の人で、喋ることを禁じられて、隣に座られて。…どうしろと。
「私には夢があった。親父の煎餅屋を引き継ぎ、誰もが知る有名な煎餅屋にすることだ」
え。突然なに?語り始めた男性に俺は戸惑う。
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