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「ほいじゃ、今からワシと来るか？」
わずかに覗く、居間の奥に掛かっている時計を見ると、午前の７時前を差していた。
「今から？」
あまりにも唐突なシゲちゃんの台詞に、驚くほど呆けた声を上げてしまう。確かに自分から言い出したことではあったが、まさか今からとは思ってもみなかったからだ。
「そうじゃ。そん方がええじゃろ」
呆気にとられつつ、俺は了承したようにひとつ頷く。
「てぇな訳じゃ。おばちゃん、ちぃとしょうちゃん借りてくなー」
彼のこういった言動は毎度のことなのか、ヨシヱさんは溜め息混じりに口元を緩ませ「気ぃつけぇよ」と呆気なく返す。にしても、即答か……。
「決まりじゃ！」
そう言ってにかっと歯を見せ、やんちゃに笑う。後方から玄関を四角く切り取りシゲちゃんを照らす、日差しが眩しい。
＊＊
シゲちゃんが勤めるのは、中心街にほど近い鉄工所だった。まあ、結果として、俺もここで働けることになった訳だが……。
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