1-2 澤田《さわだ》 滋《しげる》

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  「初めまして、野崎 翔です」  思わず敬語が口をついて出る。どうも相手が異性だからか、シゲちゃんの時みたいにはなかなか話せない。 「こいつ、しょうちゃんの親戚なんじゃて」  シゲちゃんの言葉を聞いた彼女は、なるほどといった様子で、しかし納得したように口を開く。 「ああ、そいでなんか。しょうちゃんになんとのぉ似とる訳じゃ。よろしゅうに」  耳の下でふたつに束ねたおさげ(・・・)を揺らし、前傾気味に顔を覗き込む。 「はぁ、宜しくお願い……します」  どうにも調子が狂う。遠慮がちな挨拶を返す俺に対し、あははと笑い「そない(かしこ)まらんでええよ」そう言ってにこやかな笑顔を向ける彼女は、やっぱりどこか由衣に似ていた。  
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