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「初めまして、野崎 翔です」
思わず敬語が口をついて出る。どうも相手が異性だからか、シゲちゃんの時みたいにはなかなか話せない。
「こいつ、しょうちゃんの親戚なんじゃて」
シゲちゃんの言葉を聞いた彼女は、なるほどといった様子で、しかし納得したように口を開く。
「ああ、そいでなんか。しょうちゃんになんとのぉ似とる訳じゃ。よろしゅうに」
耳の下でふたつに束ねたおさげを揺らし、前傾気味に顔を覗き込む。
「はぁ、宜しくお願い……します」
どうにも調子が狂う。遠慮がちな挨拶を返す俺に対し、あははと笑い「そない畏まらんでええよ」そう言ってにこやかな笑顔を向ける彼女は、やっぱりどこか由衣に似ていた。
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