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爆風と共に窓ガラスが砕け、崩壊した壁が俺達の背後に迫る。熱線の中でガラスの破片が、シャリ、シャリッ、と小気味いい音を立てて肉を切り刻み突き刺さった。
咄嗟に俺はシゲちゃんに向かって右手を伸ばしたが、あえなく崩れた壁の塊たちに飲み込まれてしまう。
しばらく、真っ暗な世界が続いていた。……熱い、身体中の至るところがじりじりと焼けるようだ。気がつくと、目の前にはさっきまで凭れていたはずの建物の壁が瓦礫となって幾重にも覆い被さっていた。
早くここから出なければーー言いようのない危機感が襲う。埋もれている体を捩れば、運良く瓦礫に隙間が出来ていたたらしく、辛うじて手足は動かせる。
「痛っ……」
手足を動かした瞬間、ずきりと走る熱を持った痛み。それに耐え、なんとかここから出ようと地を掴み匍匐前進するようにもがく。
ようやく上半身が大気に晒された時、前方に見える瓦礫から飛び出した鉄骨は、ぐにゃりと歪に溶け湾曲していた。
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