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7月も後半に差しかかったその日、俺は広島市に来ていた。祖父の手紙に書かれていた『シゲちゃん』――彼に何があったのか詳しく知る為に1人で、そう思ったのだ。
そう、1人で。――否、俺には連れがいた。
「よし! できた!」
そう一声上げて嬉しそうに笑顔を見せるのは、幼馴染の由希。ショートボブの明るい髪にピンクのシャツ、ジーンズ地のミニスカートが活発な印象を与えている。
「てか、なんでお前まで着いて来るんだ?」
スカートの裾から覗く色白の素肌が眩しくて、思わず目を逸らしながら、憤りを滲ませ訊ねた。すると彼女は折り鶴を片手に「別にいいじゃん」と言ってのける。
恐らく、幼馴染であることが彼女の中の遠慮という部分を麻痺させているのだろう。親も「翔ちゃんなら」とふたつ返事だったので、全く困ったものだ。
参ったとひとつ溜め息をつき天を仰げば、煌々と日差しが照りつけて、周辺の木々からは蝉の声が賑やかに響く。
「けど、翔ちゃんが興味もつなんて意外」
折り鶴を太陽の光に翳し、きらきらと反射するそれを見ながら宣う。
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