190人が本棚に入れています
本棚に追加
シゲちゃんもまた、彼女を助けたいのだと思いが伝わってきた。しかし再度力を入れた時、ずるり、シゲちゃんの焼け爛れた肩の皮膚が10センチメートルほど下にずり落ちた。
「シゲちゃん! 肩がーー」
自身の皮膚が剥がれるのも厭わず尚も力を加え続けるその姿を見て、言いかけた言葉を飲み込む。言ってはいけないと思った。
シゲちゃんはきっと今、サっちゃんを助けたい一心で痛みを忘れている。彼の今の状態を気づかせてしまっては、助けられるものも助けられない。
だから今度は俺がシゲちゃんに倣い、持てる限りの力で柱を押し上げる。
「くそっ! この屋根、動けよ!」
しかし屋根はぴくりとも動かず、迫り来る火の粉を前に焦燥感だけが押し寄せ、当たり散らすかのように声を荒らげた。すると、見兼ねたのか顔だけを上げてこちらに視線を送り、サっちゃんが言う。
「シゲちゃん、しょうちゃん、もうええ……もう、ええんよ」
最初のコメントを投稿しよう!