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中央の円卓の形をしたモニュメントには、当時の広島だろう町並みが映像で映され、何気ない日常の一時を伝えていた。だが次の瞬間、真っ白に染まり、映像を覆い尽くす。
中央部分から黙々と立ち上がるきのこ雲。テレビなどでよく見るあの映像が映し出された。
それからリトルボーイの実寸大模型や、投下直後の町の様子を捉えた写真などを見て回ったが、現在に慣れすぎたからだろうか。どうにもこれが実際にあった出来事だという実感は湧かなかった。
地面に膝をついたまま天を仰ぎ、黒焦げになった子供の写真やコンクリートに焼き付いた影。ガラス越しに並ぶそれらを、どこか博物館の展示品を見るような気持ちで眺めていた。
だが、焼け焦げてぼろぼろの学生服の前まで来た時のこと。その足元に置かれた熱でひしゃげ、とことどころ煤けた弁当箱を目に、奇妙な感覚に襲われる。
なぜだかそこから視線を外すことが出来ない。ゆっくり引き込まれていくような感覚と共に、やがて意識は遠退き、くらり暗転した。
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