1-1 暗転

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   何かが沢山走っているような音と、埃っぽい空気で目を覚ます。最初に飛び込んできたのは草ーーそして暗闇。  気がつけば俺は、知らない場所に突っ伏していた。 「痛っ……」  どうやら頭を打ったらしく、鈍く走り抜ける痛みに顔をしかめる。由希は、手紙は!? 右手で頭部を軽く押さえながら周辺を見回す。  辺りに由希の姿はなかったが、肩にかけた鞄はそのままだ。ゆっくりと体を起こし、草むらに尻をつく。 「どこだ、ここ?」  眼前には大きな河川。いや待て、確か今まで資料館ーーつまり屋内にいたはずで、時間もまだ昼間だったはずだ。 「おぅ、ワレ! そがなとこで何しとるんじゃ?」  突然、左後方から聞こえた声。 「……えっ?」  反射的に声のした方を振り返ると、川沿いの道に少年が1人立っていた。いきなりの問いかけだったので、どう返せばいいものかと戸惑う。  現状だけで言えば草むらにしゃがんでいるのだが、そもそもここがどこなのかすら分かっていない状態だ。丁度いい、彼に訊いてみよう。 「あの……、ここはどこですか?」  
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