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「萌の夕刻」1
「ねえ 萌、今日、私が穿く下着選んで」
「わかったわ、由香。どんなタイプにしようか?」
「そうねェ、19時からデートでしょ。当然SEXするから、下は思いっきりちっちゃいパンツ。で、ブラは、それに合うヤツ」
私は、由香。それで、相棒は萌。もう、5年のつきあいになる。
西暦2068年。50年前の、2018年とは、何もかもが変わってしまった。そう、何もかもが・・・。
一番の進化が、成人に対して、一人に一匹、高知能のペットがいるってこと。「メンズ」と「レディース」の性別がある、このペットっていうのは、ロボットを遥かに凌駕した、2018年当時で言えば、さしずめサイボーグ。
なので、ロボットのように、「台」という数え方はしない。ペットなので「匹」
呼びかけも、昔のように「Hey「Ok「Yes」みたいな横文字じゃなく、極自然に「ねぇ」これは、レディースの場合。メンズは「なぁ」となる。
ご飯は食べない。専用充電器で2時間充電してあげれば、24時間、休まずに働ける。と言っても、実際に働く時間は、1日8時間位。
大学を出て3年。25歳の由香の仕事は、文筆業。細かく言えば「コラムニスト」現在では、この職種に限らず、日本人の会社員の90%以上の人が在宅勤務。
「ねぇ、由香、仕事終わったの?昨日から、明日締め切りなのに、終わらない、って言ってたでしょ?」
「ギリギリ、セーフ。仕事も勿論大切だけど、自分の時間、思いっきり楽しまないと」
「どうせ、また『人生は一度きり!』って、言うんでしょ」
「その通り!わかってるじゃん、萌」
「そりゃ、貴方とは、もう5年のつきあいよ。それ位、わかるわよ。そんな事より、シャワー浴びないと。もう17時半よ」
「えっ、もうそんな時間?急がなきゃ」
「パンツとブラは、用意しておくからね」
「うん、ありがとう」
そう言い残して、足早に、由香は浴室に向かった。
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