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けたたましい電子音が、部屋中に鳴り響いた。
僕は目を開けられず、頭の上にある棚を手で探る。
見つからない。
そうしているうちに電子音は、じわりじわりと大きくなっていく。
「あー、ったく!」
僕は重い体を無理矢理起こして、棚の方を向いた。
スマートフォンは、触っていた場所からはるか端の方で音と共に振るえている。
叩くように画面に触れると、部屋はやっと静かになった。
薄暗い部屋に戻った静寂は、僕の瞼をまた重くする。
ダメだ、ここで目を閉じたら二度寝する。
僕は瞼に力を込めて、ベッドから立ち上がる。
部屋に充満する眠気を晴らすため、僕は力を込めてカーテンを開けた。
窓からもたらされた眩しい光と、夏特有の熱気が伝わってくる。
今日も暑くなりそうだ。
「さぁ、着替えるか」
僕はスマホの隣にあった、5センチ四方の白い箱をつまみ上げる。
見た目より重い箱を手の上に乗せ、上面のボタンを押した。
ブンという音と共に、空中に
――HELLO!
という文字が浮かび上がり、続いてLOADINGと表示される。
「最近スキンを入れすぎて、立ち上がるのが遅いんだよな」
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