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続いて焼き鮭と胡瓜の漬け物。
我が家の定番の朝ご飯だ。
正直、今の時代には古風すぎる。
スキンへの考えだってそうだ。
こんなに便利だっていうのに、両親は未だにスキンを使うことはない。
僕はスキンの批判を続ける両親から、テレビに映ったニュース番組へと視線を動かした。
――昨日午前十一時過ぎ、
霧浜駅付近でスキンが映らなくなるという事件が発生しました。
警察は何者かによる悪戯と見て捜査しており……
「お母さんのお友達も遭ったみたいなのよ!
この事件に」
「へぇ、どうなったの?」
僕は焼き鮭とご飯を口に頬張った。
父はもうこの手の話題に興味をなくしたらしく、タブレットを横目に静かに朝飯を食べている。
「なんか砂嵐みたいになって、
何も映らなくなるらしいわよ。
なかにはスキンを映す、えーと、なんだっけ?」
「スキンボックスね」
「そうそう、それが壊れたって人もいたみたい。
お友達は壊れなかったんだけど、
出かけるの諦めたみたいよ」
「そんなもの外して、
そのまま出かければよかったじゃないか」
父が漬け物に箸を伸ばす。
「スキンを外して歩くなんて、恥ずかしくて無理だから!
笑われるって」
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