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午後1時少し前。ミクリとの約束どおり、僕は霧浜駅に着いた。
日差しが暑すぎて外で待つ気にはならず、ごった返した駅の中でスマホを開いて、天気を調べる。
今日の気温は40.2度らしい。
どおりで暑いわけだ。
数年前から夏は40度超える日が増えてきたが、毎年慣れる気がしない。
駅に添えつけられたクーラースポットに移動してスマホをいじっていると、画面に矢印とメッセージが表示された。
――ミクリさんが近くに来ています
顔を上げると、白いワンピースの少女が少し恥ずかしそうにしながら、僕の方へと近づいてきていた。
腰まであるストレートの黒髪に、ピンク色の大きなリボンをつけている。
ミクリの好きな清楚系のスキンだ。
「今日のスキン、カッコイイね」
僕の目の前にやってきたミクリは、顔を紅潮させながらはにかんだ表情になった。
どうやらスキンのチョイスは完璧だったようだ。
よし、順調順調。
「そう言うミクリのも似合ってるよ。
今日はカラオケ行ってから
タワーに行こう。
ミクリ、行きたがってただろ?」
「本当!?
嬉しいな!」
ミクリのワンピースの裾が、膝をこすって楽しそうに揺れるのを見て、僕も嬉しくなった。
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