イノセント

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「坊主!」 画家に怒鳴られてようやく僕は黙った。 「絵を言い訳にするな。知らないから許されると思うな。大体、お前さんは知る努力すらしてないだろう」 僕は何も言えない。 「いいか。何でも簡単に知ることができる時代なのに、物事を知らないことは罪だぞ。私に頼る前に自分で学んでみろ。自分で学び取る力がないなら絵の腕も上がらんぞ」 そうなのか。絵のこと以外にもやらなければならないことがあるというのか。しかもそれが絵の善し悪しと関係あるというのか。 ふたりともしばらく黙っていると、画家が先に静かに口を開いて言った。 「お前さん、当分私に会いに来るな」 「ちょっと待って下さい」 反射的に僕は背筋を伸ばして言う。 「お前さんは、少し私に近づきすぎた。お前さんは学生だ。学校の勉強もしなきゃならん。世間知らずになってはいかん。私ではなくて、もっと自分と、世の中と向き合ったらどうだ。その方が」
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