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次の日僕は、朝ごはんもそこそこにB地区に住むサブの家に遊びに行った。村はABCと三つの地区に分かれている。
「サブ、サブー」いつものように外に面したサブの部屋に声をかけた。
「ロク?」「すぐ行くから、ちょっと待って」
サブは僕を待っていたように直ぐに走り出てきた。
サブの顔を見てすぐに、いつもの雰囲気じゃないと思った。
「どうした、サブ。何かあったのか?」僕が心配すると、
「爺ちゃんが…」
「爺ちゃんが、死んじゃった…」
サブは肩を震わせて泣き出した。僕が来るまで泣くのを我慢していたみたいに途端に号泣した。
暫く泣いて少し落ち着くとサブは話し始めた。
「昨日の夜中、村の若手グループが突然、爺ちゃんを連れ出したんだ…」
「で、明るくなって父ちゃんと母ちゃんが捜し回って…血を流して死んでいるのを見つけた…」
サブは手の甲で流れる涙を拭いた。
そうか…夕べの○○ってサブの爺ちゃんの事だったのか
僕は真夜中の大人たちの会議を思い出した。
「村長、A地区で赤ん坊が生まれました」若手が報告をしている。
「そうか…産まれたか」お父さんの声だ。
「では今回の排除はB地区の○○で間違いないですね」若手リーダーの声。
○○?名前は良く聞こえなかった。
「あー排除はB地区の○○だ。間違いない」お父さんが答える。
「じゃ、今からすぐに排除に向かいます」と若手リーダーの声。
「うむ。頼んだぞ」
お父さんの言葉を最後に会議は終わって、皆んなドドっと家を出て行った。
○○を排除ってサブの爺ちゃんの事だったんだ。
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