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腰を抱かれて進まされるのをやめさせるよりも、コウモリが奥から飛び出してきて来たのに驚き思わずディベールの服をぎゅっと握ってしまう
「勇者、歩きにくい」
「悪い…びっくりして」
握っていた服を離し軽く深呼吸するとディベールから離れて少し前を歩く
その様子をみてディベールが小さく笑みを浮かべ、壁沿いに等間隔で置いてある蝋燭に魔法で明かりを灯しつつ歩いていく
暫く進むとウオオォッと唸り声のような地鳴りのような音が聞こえてくる
「…っ!」
「これが例の声か?」
動じないディベールと違いライトの肩は驚きで跳ねて足も止まってしまう
「何かいるのは間違いないようだな」
ディベールは明かりを灯しつつ先へと進んでいく。ライトはディベールを盾にするように後ろから着いていくが、奥に進めば進むほど声が近くなっていく
狭い通路を進んでいくと急に開けた場所に出るが、暗くてよく見えずディベールが魔法で部屋を明るく照らすと中央に巨大な白い塊が目に入る
「何だ?あれ」
ディベールの後ろにいたライトが白い塊に近付き、手を伸ばして触れて見るとふかっとしていて少し温かい
「ん?あったかい…」
足元を見ると水たまりのようにも見えるが、しゃがんで触って見ると赤黒い
「赤い…血?」
二人の気配に気が付いたのか白い塊が動き出し、唸り声と共に顔を二つ覗かせる
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