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白い塊の正体は巨大な犬で、しかも頭が二つついており一つはライトを睨みつけ牙をむき出しにして唸っている。もう一つの頭を片目に切り傷があり血が流れてとても痛そう。
「何だ…犬か」
そこらへんの野良犬を見つけたかのように呟くディベールは、前で固まって動かないライトの腕を掴み後ろに引っ張り自分の方へ寄せる
「勇者しっかりしろ」
「犬…頭2つ…」
「ケルベロスだと思うが…頭の数が少ないな。毛の色も白い…変種か?」
冷静に目の前のモンスターをみつめるディベールの横でライトはどうしたらいいか混乱していた。
ケルベロスは唸っているだけでこちらには攻撃をしてこない。動けないだけか争い事が面倒なのかわからないが、ディベールは固まっている勇者の背中を軽く叩く。
「どうするんだ?勇者。コイツ倒すのか?それとも見たって報告に戻るのか?」
混乱して思考が停止していたが、ディベールに背中を叩かれると少し落ち着きを取り戻し目の前の傷ついたケルベロスを見つめる
「なんとか手当てしてあげたいんだけど」
「手当て?何故だ」
「何でって…怪我してるから」
「……勇者がそれを望むならやってみるか」
人がいいなぁと思いつつディベールは目の前の白い獣に近付く。ケルベロスは唸り声を大きくし近付くなと言っているように吠える。
「黙れ毛玉。勇者がいなかったら煩くて殺しているところだ」
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