初めての洞窟探検

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飼い主が無事に見つかり安心していると村の村長と村人数人がお礼の品らしき物を持ってこちらにやってくる。 「勇者様、よくご無事で。魔物退治さぞ大変だったでしょう?」 「いえ、俺は何も…」 チラリと隣のディベールを見るが興味無さそうに村の様子を眺めている。 「これであの呻き声に悩まされることもなくなりました。有難うございました」 深々と頭を下げられライトは少しだけ罪悪感を感じてしまう。倒してないし、むしろ元凶を村に連れてきて女性に押し付けたのだから。 「少しばかりですが、お礼の品です。お受け取り下さい」 「いえ、いただけません!」 差し出された金品や食べ物をみて首を横に振る。何もしてないのにお礼の品など貰えない。貰えるはずがなかった。 「勇者、貰わないとこやつらが困るだけだぞ。あと日が暮れる次の街までもう少しかかるぞ」 「う…でも…」 受け取らないと帰してはもらえなさそうな村長の雰囲気に、仕方ないと村人が持っていた食べ物の山からりんごを2つ手に取る。 「お礼はこれでいいです。先を急ぎますので俺はこれで」 一礼してそそくさと逃げるように歩き出すが、「勇者様有難う!」と声高らかに見送られまた罪悪感が押し寄せてくる。 「気にするな。あの犬が今後この村を守るだろうからな。番犬にはもってこいの犬だ」     
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