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謁見の間に通されると赤い絨毯の上をぎこちない足取りで歩いて行く。その先には真っ白いヒゲを蓄えた王様の姿。その威厳ある姿にライトは自然と頭を下げる。
「よく来たな勇者よ。そなたには辺境の地に住む魔王を倒して欲しいのだ」
いきなり勇者と呼ばれすでに決められている事実に困惑した表情を浮かべる。何をもってして田舎育ちで剣もろくに振ったことがない自分が本当に魔王を倒すなど大それたことが出来ると思われているのか不思議に思い王様に問いかけてしまう。
「あの、でも俺…戦いとかしたことないし魔王の城に行けるとは思えないんですけど」
「うむ、そう言うと思ってこれを用意させた」
王様が側近の男に視線を送るとライトの前に新品の鉄装備一式と現金と周辺の地図が置かれる。
「それはこちらからの贈り物だ。大したものでなくてすまない」
側近の男達がライトを取り囲み鉄装備を一式着せていき、腰には鉄の剣がつけられる。初めての装備の重さに驚きつつも本当にこれで魔物と戦えるのか、自分に剣が扱えるのか不安が押し寄せてくる。
「あの俺…本当に剣なんて扱ったことなくて…いきなり戦うなんて無理です」
「安心しろ。護衛を1人つける。選ばれた勇者をみすみすと殺すようなことはしないさ」
王の隣にいる側近が得意げな表情を浮かべつつ不安そうなライトに告げる。
「勇者よ、頼んだぞ」
「…はい」
王様に優しく言われ「はい」と答えるしかなく、不安なまま城を後にする事に
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