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腕組みをしふんっとふんぞり返って 斧を持つ男を見据える。二人のやり取りを少し後ろから見ていたライトは立ち上がりこの先どうするか考えていた。
「大人しくそこをどけ。貴様ら盗賊に構っていられる時間などないからな」
すでに日も落ち薄暗くなってきており、街まではもうすぐだが二人はお腹も減ったし歩きっぱなしなので休みたかった。
「そう言われて易々と退くと思うのか?」
そんな二人をよそに、男は大きな斧を構えて戦う気満々のようでディベールはげんなりする。
「……勇者、アイツ殺していいか?」
「ダメに決まってるだろ」
「さっきから勇者って言ってるが…そいつ勇者なのか?」
「見れば分かるだろ」
コイツは何を言っているんだ?と明らかに不快そうな顔を向けるディベールに、男は少し驚きライトに目を向ける。
「あー…そうか。アンタ今月の勇者か」
初心者のような動きと装備、連れは手練た様子に納得するように男は頷く。
「今月?何のことだ?」
「勇者本人は知らないのか。あそこの王様は毎月市民を無作為に勇者にしてどっかの国から支援金貰ってるって噂だ」
「噂…」
そう言えばと、村の一部の人がライトが選ばれたのが可哀想とか言っていたのを思い出す。
「アンタ生贄にされたんだな。先月もアンタと同じような奴狩ったんだよ。俺たちにとったらただの餌だけどな」
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