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慣れない鉄装備をつけたままガシャガシャと音を立てながら城から出て来ると緊張がほぐれて小さく溜息が漏れる
「はぁ…不安だ…」
先程の側近から城の入口で待つように言われて、一緒に旅をしてくれるであろう人が来るのを大きな門の前で待つ
「魔王なんて…いるのか?」
「いるぞ」
独り言をボソリと呟くと隣から声が聞こえてきて驚き横を向くと、長くて綺麗な白髪が目に入る。腕組みをして得意げな顔でライトの驚いた顔をじっと見つめては口を開く。
「魔王は私だ」
「え?」
「 次の勇者はお前か…なかなか根性ありそうで良かった」
ライトの戸惑っている様子を見つめ真新しい鉄装備を人差し指で弾く
「私はディベール。辺境の地に住む最強の魔王だ」
「………」
「何だ?恐ろしすぎて声も出ないか」
「いや、魔王にしては弱そうだなと…ジャージ着てるし」
魔王だと名乗る男の服装は思った以上の軽装備、布の服に革のブーツ近くのコンビニに行くスタイルで目の前に立っている。街の人がみたら先程貰った鉄装備一式着ている自分の方が強そうに見えるだろう
「鎧などなくても強いからな問題ない」
得意げにライトに向かって笑うと胸の前で組んでいた手を離し、ライトの腕を掴み引っ張り歩き出す
「は?え?何?」
「さっさと行くぞ勇者」
「ど、どこに?」
「近くのダンジョンだ」
「はぁ!?ちょっ、ちょっと待て!」
ライトの制止の声も聞かず、突然現れた自称魔王ディベールに街の外に連れていかれるライト
二人が立ち去った後、護衛をするはずだった騎士が城の外に出てくるが立ち尽くし困ったような表情を浮かべるが勇者はもう街から出てしまっていた。
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