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何を見ているかとライトもそちらに顔を向けると、数人の男達が頭を抱えながらも酒を飲んでいるようだった。
「気になんのか?」
「勇者は関わるな。多分、面倒事だ」
「面倒事?」
さっきの娘が飲み物だけを持ってこちらに戻ってくると、ライトとディベールの前にグラスを置く
「お客さん達観光の人?」
「いえ、旅人です」
ライトが愛想笑いを浮かべながら娘に答える。観光客でないと聞くと少しほっとしたように娘が笑う
「そっか、遊覧船とか今やってないからさ。観光で来たんならガッカリしたんじゃないかと思って」
「そうなんですか?遊覧船からカモメとかにエサやるやつですよね?」
「そうそう…でも今、海に出られなくて」
娘の話に面倒事に巻き込まれたのを察してディベールは小さくため息を漏らす。
「どうしてですか?」
「先月くらいから海に大きなイカが現れるようになっちゃって危なくて船出せなくてさ」
「イカ…」
娘は困ったような表情を浮かべ、店の隅に座っている男達にひっそりと目を向ける
「あそこの人達、漁師さんなんだけど全然漁に出れなくて頭抱えちゃって」
ライトは先程ディベールが見ていた男達に再度目を向ける。
男達は日に焼けた肌を紅く染めるほど飲んでいるのか、泣きながら飲んでいる者もいれば泥酔してテーブルに突っ伏して寝ているものもいる。
「ヤケ酒だな」
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