身勝手な駆け引き

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ディベールの突然の申し出にライトは目を丸くする。 「倒せたらあそこに飾ってあるオブシディアン装備一式くれ」 オブシディアンとは黒曜石のことで市販されている装備の中では硬い部類に入る。しかし、硬い分重くそのまま着けられる人は少ない。火や風にめっぽう強い装備として知られている。 自信満々で告げてくるディベールとその後ろで困ったような表情をしているライトをみて、店の店主は思わず吹き出して豪快に笑い出す。 「ガッハッハッ!お客さん面白い事を言うな。その弱そうな兄ちゃんが勇者?見たところまだ、なりたてだろう?無理だ無理!ひよっこにかなう相手じゃねーよ!」 初めから勝てるとは思われておらず、カウンターを叩いて大笑いする大柄な店主。 「やってみなければわからん」 ディベールは1歩も引かず店主に余裕の笑みを向け続ける。 「やめとけ命を無駄にするだけだ」 「そうか、ではずっと不景気のままでいいんだな?ここは観光で儲けているのだろう?」 ディベールの指摘に店主は顔を曇らせる。切迫しているのは間違いないようでカウンターに乗せていた手に視線を落とし拳を握りしめる     
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