夏夜に描いた青の願い

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少年は早く帰りたい思いで断ろうとするが、少女が再び泣きそうな顔をしてしまった。 大きく溜息を吐くと、少年は仕方なく一緒に親を探してあげることにした。 少女の親を探して商店街を歩く二人。しかし周りはすっかりお祭りムード。 どこからか聞こえてくる軽やかな祭囃子や響き渡る太鼓の音色。 道の両端に並んだ屋台からは美味しそうな焼きそばやカステラの匂いが漂い、射的や金魚すくいに夢中になる人は皆、楽しそう笑顔を浮かべている。 「ねぇ、遊ぼうよ!」 少女の声に、少年は知らず知らずのうちに心が躍っていたことに気が付いた。 そんな誘惑に勝てるほど、少年の心は冷めてはいなかったらしい。 一足先に浮足立った少女の手に引かれ、二人も一緒に祭りを楽しみ始めた。 「これ、やるよ」 目当てのヨーヨーが釣れず、半泣き状態の少女に、少年はそれを手渡した。 「いいの!? ありがとう!」 瞳をキラキラと輝かせて、溢れんばかりの笑顔を向ける少女。少年は咄嗟に目を背けた理由がわからなかった。
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