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――情事後。
ベットの上で座っているレオの脚の間にすっぽりと収まっている私。もうこれも見慣れた光景になっていた。
ジュポ、と微かな音を立てては持っていたジッポで咥えた煙草に火を灯すレオを下から見上げる。
「私も、火ちょーだい」
「…ん」
短く返事をしながら、私が咥えていた煙草にも火を灯してくれたレオに「ありがとう」と言いながら紫煙を吐き出す。
ゆらゆらと踊るように天井に向かっていくふたつの白い煙は、まるで羽のように見える。
「…お前、死にたいの?」
ふいにそんな言葉が聞こえたと思えば、レオは私の左手首を掴んでは、そこに残る無数の切り傷に視線を注いでいた。
カッターナイフで自ら切り刻んだその傷跡は、マディソンと同じくらい気に入っている。
私が私の身体に遺した、唯一の消えないモノだから。
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