ママが帰ってくる

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ココロが中に入ると、ウェスタやピクシーたちがいっせいに合唱しました。 「ココロおかえり」 「おかえり」 「おかえり」 「ココロゴミ出せたの?えらーい」 「なにこれ」 ココロが声がしたキッチンのほうへ急ぐと、ママがジャケットを脱ぎながら呆れたように 騒ぐ家電たちを見回していました。 「ああ、ココロ、」 ママはココロをみとめ、ざっとココロを上から下まで眺めると、 「大丈夫そうね」と無表情で言い、 冷蔵庫から水を出して飲みました。 それから疲れたように大きなため息をつき、椅子にもたれてぐったりと上を仰ぎました。 (ママ、どこ行ってたの?またおばあちゃんが病気だったの?ココロの、てすと、だったの?) 聞こうと思っていたことは、たくさんあります。 それに、ママが帰ってきたら、報告して褒めてもらいたいことがいっぱいあったのです。 こぼしたら、片付ける、もできたし、毎日自分でごはんを食べて、お風呂にもちゃんとひとりで入れて、お洗濯までできて、ケーキも作りました。 ママにひとつ残らず話したら、とてもびっくりして褒めてくれるはずです。 そうだ、それになんといっても、本当はルナ・ママやヘスティア・ママやシルフィや、たくさんの家電のママといっぱい楽しくしゃべれることを、全部教えてあげないと。 ココロはそわそわしましたが、ママがとても疲れて、何もしゃべりたくない様子に見えたので、口から出てきたのは 「ママ、あのね、ケーキあるよ」 という声だけでした。 ママは、ケーキ?買ったの?食材に入ってたの?といいながら携帯デバイスを操作して、食材のショッピングサイトにアクセスし、最近、新家が購入した食材の電子レシートをざっと調べました。 そして高くついたのね、ともう一度ため息とともに独りごち、額に手を当ててしばらく目を閉じていました。
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