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ココロの質問から、少しして、ルナは、パパとママのホームネットワークへのアクセス記録を再度検索して読み上げました。
ホーム名義の口座に会社からの振込みが正常に続いていること、
見守り機能からの「家の状況が正常か、確認の問い合わせ」が、外からのママのデバイスからのアクセスで承認されていること、あんしんビデオ記録もママがチェック済みであること、などを報告し、ルナはココロに、
「ママはココロさんを見守っています。問題ありません」と答えました。
「そうなんだ。よかった」
ココロはテーブルに頬をくっつけてそっと笑いました。
「ココロさん、食べ終わったボウルは、ゆすいで食器洗い機に入れようね」
「はい」
ボウルをいれると、食洗機のヴィーナスが、
「ボタンをタップしてね。ランプがついている間は扉を開けないでね」といいました。
「わかってるよう」
ココロは心得たふうに言って、ボタンを押しました。
家電たちがこんなふうに「ココロ仕様」の話し方をはじめたのは
ママがいなくなってからのことです。
ママがいなくなったとき、ココロは、ルナにココロ以外家にいないと聞いても、
しばらくうろうろと家の中を探しまわり、クローゼットやトイレ、納戸など
扉のあるところはすべて何回も開けて、確かめてみました。
ベランダにも出て、10階下の地面にママが見えないか、目を凝らしてみました。
それから、ぼーっとキッチンまで戻ってきて、座り込み、目をこすりました。
すると、家電たちがいっせいに
「ココロちゃん、どうしたの」
「ココロさん、冷たいココアがありますよ。冷蔵庫から出して飲みましょう」
「ココロ、お掃除する?」
「ココロさん、素敵な音楽をかけましょうか」
とココロに話しかけてきたのです。
家電は、それまではママが主なユーザーというのに登録して、使っていて、ママはおしゃべり機能をうるさがって、ほとんどの家電のその機能をオフにし、ルナの会話機能も、最小限にとどめていました。
だからこんなふうに家電がおしゃべりになってココロに話しかけるのははじめてで、
ココロはびっくりしたのです。
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