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ここで、初めて誰もが異変に気付いた。あれだけ、熱狂していたヒットマンパレードの観客がスポットライトが当てられた場所だけ異様に静かだった。
あまりに静かすぎる。これも、演出の一つなのだろうか。
「・・・・」
スポットライトに照らされる相手を見て、ネロの顔が険しくなる。いつもの彼では見られない顔であった。彼女(キヤロン)を連れて来なかったのにも、こういう事情があった。自分の今の顔はとても見せられないから。
これは、いつもの“看守”の顔ではない“刑務官”の顔だ。人殺しも厭わない残忍な顔つきである。
男はネロと同じ白と黒のチェック柄のネクタイをしめていた。いや、ネクタイだけではない。黒い制服も制帽もすべて、ネロと同じデザインのを着用していた。
ここまで、見事に同じ制服で身を整えているのは、単なる偶然ではなかった。
男の姿にネロの表情はますます険しくなった。
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