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「誰だ?私は忙しいのだが、名も知らぬ殺し屋を相手しているほど暇はないんだが」
「言ってくれるじゃないか。お前、アイザックを壁につかっただろう」
「大柄のでくの坊のことか?大柄なりに壁役になってくれた」
「言ってくれるな。アイザックとは、こう見えてもダチだったんでな。ダチが殺されたんだ。悪いが、お前を先に殺させてもらう」
アイザックの友達だという痩せ形の男。頭から下は黒い布のようなもので覆われていて本当に痩せ形なのか、どうか分からない。彼は全身からキリキリと嫌な音を立てている。
「ハァ」
マシューを殺そうと意気込む痩せ形の男に、当の本人は溜め息をつく。まるで、彼を馬鹿にするかのように。
「何がおかしい」
「おかしくはない。ただ、今時、殺し屋でダチや義理でケンカを吹っ掛けてくる時代遅れな奴がいるのかと思うと、溜め息がさ」
「・・・時代遅れだと?」
「そうだろう。ここは、殺し屋同士の戦いは命のやり取りをする場。いつ、死んでもおかしくない場。言うならば、戦場と同じだ。そんな中で、くだらない感情で命を無駄にする奴がいると思うと」
「・・・貴様」
痩せ形の男はますます、キリキリと変な音を立てる。
「第一、俺は殺してなどいない。一時的に命を確保させてもらっただけだ。あとあと蘇生させてやるから。それでいいだろう」
そう言うマシューの腰のベルトには僅かに発光している試験管がフタをされた状態で治まっていた。
「それに、殺し屋っていうのは、簡単に自分の手口は見せないものだろう。それを、堂々と身体を黒い布なんかで覆って。いかにも、怪しいすぎるだろう」
マシューはそう言うと、黒い布に切りかかりはしなかった。彼は腕組みをしたままの痩せ形の男の肩にポンと手を乗せると彼を土台にして飛び跳ねた。
「ぐ!」
「お前が、アイザックとダチなのが本当か嘘か知らないが。ヒットマンパレードに出場するのは少し早かったようだな」
マシューがそう言って、痩せ形の男を乗り越え綺麗に着地する。それと、同時に痩せ形の男に異変が起きた。まるで、何かに押し潰されるかのように身体が縮んでいく。
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