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「団体でして、一人はトレジャーハンターを名乗っていました」
「トレジャーハンター・・・」
ロンバンズは短く「ほー」と関心して見せた。今まで、殺人金庫に挑む者は、名の知れた殺し屋や命知らずの連中ばかりだったというのに。自ら、“トレジャーハンター”を名乗る者も珍しかった。
「珍しい職種です。もっとも、自己申告なので本当であるかどうかは分かりませんが」
「ふむ。それで、目的はやはり中央に納められている当局が所有する、例の宝石か」
「恐らくは、世界でも希少な・・・いえ、その宝石だけにしか含まれていない元素で構成されています」
分からないのも当然のこと。彼らは、それを精霊の王、レトリバースと契約を結ぶ為に必要な特別な宝石であることを知らない。科学的に構成している元素を調べようとしても、未知の元素がどうしても出てきてしまう。故に正体不明の宝石であり、マドレッドTVの殺人金庫に保管しておくしかなかった。賊に狙われるのもそうであるが、宝石の価値を見出すことなくイタズラに売買されるのも迷惑な話だ。
「それで、連中はすでに内部に?」
「はい。入り口は常に開放しております。いずれ、私も向かいますが、まずは小手調べと参りますか」
「分かった。企画運営は全て、ベランに一任する。何としても、番組を盛り上げるんだ」
「かこまりました」
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