0人が本棚に入れています
本棚に追加
「レ~ディィィィィス!アァァァンドォォォォ!ジェェェェェェントォォォルメーン!」
司会者の男が高らかに声を上げる。会場に設置された大型のスピーカーからは、観客席を揺るがすほどに声が響く。ラジオをヘッドフォンで聞いていれば鼓膜が破れてしまうほどの音だ。
司会者の声を合図に、大型のスピーカーから大音量で軽快な音楽がBGMが流された。90年代の音楽番組を彷彿させるような曲調に乗って、空にギンギラギンに輝く段幕が運び込まれる。LEDを採用された大型の段幕には華やかな文字が浮かび上がった。
『Welcome To The HIT MAN PARADE』という文字だ。
「さぁ!本日も始まりましたァ!マドレッドTVの看板番組、ヒットマンパッレェェェェド!」
司会者はずいぶんとテンションの高い男だ。
司会者はノリに乗っていた。どれだけ乗っているのかというと、生放送にも関わらずナイフや拳銃で襲ってくる連中をその場で、
「放送開始前から司会者であるこの私、雁屋(かりや)を襲ってくるのは、ヒットマンパレードの放送開始の遅れにィィィィ痺れを切らした熱狂的なファンの方々ァァァァァァ!」
雁屋は巧み攻撃を交わしながら内ポケットから手の平に収まるぐらいの小さな拳銃を抜き、たった今、斧を振り下ろした男の脳天に至近距離から銃弾を撃ち込む。
「たった今、私の拳銃が男の脳天を撃ち、[ピーーーー]をまき散らしましたァァァァ。続いてェェェェ」
手の平に収まる程度の拳銃では銃弾にも限りはある。他の攻撃を交わしながら、雁屋の指には指輪が填められていた。アクセサリーではない。角手と呼ばれる武器である。どのような武器かは、指につける鉄製のメリケンサックに棘がついたモノを想像してもらえると分かりやすいだろう。
雁屋は攻撃を交わすと慣れた様子で手を握り、角手の棘を襲ってきた相手の顔、それも狙いを定めたかのように眼球に叩き込んだ。
「ギャア!」
生放送中だというのにも関わらず容赦なく。眼球が潰れ内部に満たされていた硝子体が棘が刺さった穴から眼圧に押され気持ち悪く飛び出た。目をやれた相手は立っていることもできなくなり会場となっているスタジアムの倒れる。
最初のコメントを投稿しよう!