俺は人気者

2/3
30人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
「凜くんってほんとかっこいいよね」 俺の腕に自分の腕をからめてくる。 「そう?ありがとう」 ……なんだっけ。 この子の名前。 「ずるいよー。独り占めはダメー」 香水をぶら下げて歩いてるんじゃないかってぐらい、臭い女が隣に走ってくる。 「ほらほら、みんな仲良くね」 なにがいやだって、こんなふうにみんなにいい顔してる自分が1番嫌い。 でも、なんでもいいんだよ。そんなの。 「今日はあたしの日だよね?」 また別の女の子がやってくる。 「そうだね」 「じゃあ明日はあたしだよー?」 「うん。また明日ね」 愛想よく手を振っておく。 「あたしの家誰もいないから……」 「ん。わかった」 誰でもよかった。 本気になんてなれる奴はいなかった。 俺が笑顔を振りまけば、誰でもついてくるんだと中学の頃悟った。 「凜くんといるとほんと自慢になる」 こういうこともよく言われる。 俺はブランド品かよ。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!