ビー玉とラムネと携帯人間

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「いい男だったよ。破天荒で家族にとったら大迷惑な奴だったろうが、繊細な奴でね。お母さんを心底愛していたよ」 喪服姿の田中という男は汗をハンカチでふき取りながら俺の顔を覗き込んだ。 「父さんに友達がいたんですか?」 「俺ぐらいじゃないかな?あいつは病気だから友達なんていないはずだよ。当時は躁鬱病って言ってたんだけどね、めちゃくちゃ元気な時期とめちゃくちゃ暗い時期が交互に表れるんだよ。初めはこいつノイローゼか精神病だろうなって感じてたけど、苦しかったと思うよ。今になってそう感じるんだ」 田中という男は作り笑いをその場に零した。
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