ビー玉とラムネと携帯人間

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ここ最近の父さんには笑顔がなく、そう、いつも頬が垂れて目が淀んでいた。笑顔を必死で思い出そうとするのだけれど、父さんの顔がぼやけるばかりで笑顔どころか顔すら形どることが出来なかった。 葬儀が終わり俺はベッドに横たわって天井を見据えた。暑いことに気づきエアコンをつけた。しばらく温風が部屋を包み込み、やがて快適な冷風が俺の心を満たしてくれた。 うとうとと眠ったであろう俺は不思議な夢を見た。 真っ青な空と真っ青な海が見える。そう海岸に俺は佇んでいた。地球の中心にいるような錯覚さえ覚えた。俺一人だけかと辺りを見渡してみるともう一人いた。 おいでよ 波打ち際から10メートル位の所にピエロが立っている。海の上なのに立っている。
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