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じっと心配そうにこちらを見つめてくる視線が痛い。 何もかも見透かされているようで、俺の考えていることなんて筒抜けなんじゃないかとたまに思ってしまう。 柊凛は勘が鋭くいつも周りをよく見ている。気遣いが出来るしいつも自分より他人のことを優先している気がする。少なくとも俺に対しては、そうだ。 とは言えこいつが他の誰かと談笑したり親しくしたりしているのは見たことがないから、他の人に対してもそうなのかは分からないんだけど。 あれ。もしかして、俺といるせいで柊凛は他の生徒と交流出来てない、とか?俺、邪魔になってるんじゃないか…? あの時ジャージ先生には「他クラスとの交流も大事」みたいなことを言われた気がするが、彼が俺意外と仲良く交流している姿を見たことがない。 昼休憩は最近いつもここだし、授業の合間にも廊下で話したりするし、登下校も毎日ではないが一緒にするし…あれ。気づけばいつもこいつと一緒にいる気がする。いや、これはただの自惚れかもしれない。 柊凛とはクラスが違うから、もしかしたら俺の見ていないところでは他に仲が良い友達がいるかも知れないしな。 「ひなたぁ?おーい?」 「ひゃあっ!?何?!」 購買でゲットしたクリームパンをかじりながら俺が考え込んでいると、いきなり額に冷たい感触がして飛び上がった。変な声が出てしまって恥ずかしい…。 「いや、ぼーっとしてるからやっぱり熱でもあるんじゃないかと思って」 そう言って俺を覗き込む真っ黒な瞳はとても心配そうだ。 「いやいや!ごめん。ちょっと考え事してて…。本当、大丈夫だから」 ひやり、と冷たい彼の手は火照った体に気持ち良い。 衣替えして半袖になった柊凛の腕は少しだけ日に焼けているが、それでも俺の肌と比べるとかなり明るい。俺に手を当てるために上げられた腕の、半袖の隙間から見える日に焼けていない彼の素肌はやっぱり雪のように真っ白で艶やかだった。
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