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「や、えっと、外真っ暗だしどうせ帰っても一人ならって思っただけで、飯も二人で、っていうかカイと皆で食った方が美味いだろうしどうかなって。でもお前が嫌なら全然送ってくし」 「…いいの?」 しばらくして、漸く柊凛が薄い唇を開いた。 「へ?」 「泊まっても、嫌じゃない?」 「何で!嫌だったら誘わないよ?寧ろ、あー…」 「寧ろ?」 ついさっきまで無表情だった黒い瞳が、気のせいか少しだけ嬉しげに弧を描いている。 まるで俺の次の言葉が分かってるみたいだ。こういうところ意外と意地悪だよなぁホント。 「寧ろ、もっと一緒にいたいなぁ…なんて」 「そっか。僕も」 本当に嬉しそうに笑うものだから少しどきっとしてしまう。何だか恥ずかしくなって俯いているとすうっと真っ白い手が近づいてきて、きっと真っ赤になっているであろう俺の耳をするりと撫でた。弱いその刺激がとても心地良くてくすぐったい。ずっとこんな感じで撫でられてたら寝ちゃいそうだなぁ。 「う、あの…くすぐったいんだけど」 「本当に泊まってもいい?」 「うん…」 おかしい。友達を泊めるだけなのに、何でこんな緊張するんだ。
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