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マジか。と思ったがどうやら彼は本気のようだ。さっき俺が敷いた布団を持って柊凛は嬉々として俺の部屋に乗り込んできた。さっきまで柊凛の布団の上で寝る体勢に入っていたカイはこれまた大人しく布団から降り、とてとてと柊凛の後に続いていつものポジションである俺の布団の上に収まった。 「じゃ、隣に布団敷くね。さっき敷いてくれたのにゴメンね」 「いやそれは全然いいんだけど、ホントにこっちで寝るの?狭くない?」 「布団二組入ったんだし全然狭くないよ?まあ個人的には布団一組の方がいいんだけどね」 「へ?」 何言ってんのかよく分からないけど一緒に寝ることになってんのかなこれ。嫌、ではないけれども。何故だかいつも以上に距離が近くて無駄に緊張してしまう。 さらさらと揺れる濡れ羽色の髪から不意に嗅ぎ慣れた匂いがした。俺と同じシャンプーの匂い。だけどこんなに爽やかな匂いだっただろうか。慣れた家の匂いに彼自身の匂いが加わったためか、とても落ち着くのにいつも以上に良い匂いな気がする。変なの。 それにしても、距離が近いなぁ柊凛は。布団は二組敷いてあるのに、これでもかというくらい俺の方へ身を寄せてきては枕の上で悪戯っぽく目を細めた。…何て楽しそうに笑うんだろう。 学校で見るのとはまた違う、彼の一面が見られた気がする。 そうして電気を消してから眠るまでずっと、何故か手を握られたままだった。
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