夏の残り
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三ヶ月も前、幾分の照りを残していた仄白い空から突然落ちてきた雨に、玄関先の枇杷の葉の産毛が銀粉を散らしたように光っていた。ずぶ濡れになって駆け込んできた寛太の手に赤い紐にぶら下がったビニール袋があった。後生大事に抱えてきたらしく雨粒が流れるビニール袋の中で小さな魚が揺れていた。メダカだった。寛太の身体から蒸れた若い汗と、身体に滲みついたしまった鮮魚の臭いがする。
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