夏の残り

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 翌日セツ子が百円ショップで買ってきた、ありきたりの人工藻を見て寛太が不服そうな顔をした。 「ダメだよ、人工のやつなんて止めておけよ」 「だって折角買ってきたのよ。メダカ専用で産卵にも最適って書いてあるじゃない。大丈夫よ」  寛太の言葉を無視して赤や緑の人工藻をいれると、心地良さげに泳ぐメダカを見て悦にいっていたのだが、半日、目を離している隙に藻から青緑色のどろりとした糊が出て、メダカはどれも腹を上にして死にかけており、慌てて別の容器に移したそのうち一尾だけが死を免れて今も元気だ。  
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