2 元に戻るための方法

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「ちょっ、タフィ! 今の、ほんとっ?」 ――ゴギッ! 取りあえず、最後の一撃を両手でとらさんの胸元に叩き込んでから、タフィに問いかけた。 ゴギッて何かが軋む音と、「うっ!」って声が聞こえてきたけど、気にしない。 「ねぇ、ねぇ! ほんとに、元に戻れるの? どんな方法で?」 演技かもしれないとらさんの唸り声よりも、こっちの質問のほうが大事だもん。 そしたら、服の上からでもそのモフモフ度合いがわかるファニーな両肩を私に掴まれたタフィが、「ふっふっふっ」って(ひづめ)を立てて、キランッて笑った。 一拍置いて、その口が開く。 「『キス』だ」 「……へっ?」 「キスするんだよ。葵が、アイツと」 「アイ、ツ……?」 タフィの(ひづめ)がゆっくりと動いた先。そこに、私も視線を移す。 いや、もう、このお部屋でその位置にいる人なんて、たったひとりだからわかってたけど。一応。 「……十蔵、さん?」 サラサラの髪からファンシーなケモ耳を覗かせてる着流し姿のイケメンさんの名を呟いた。 マジ? 十蔵さんと私がキスしたら、元の姿に戻れるの? それ、ほんとにほんと? 「葵は知らないだろうけどさ。オレの住む国では、こういう問題は全部これで解決するんだよ。 オレの友だちのロリーが好きな童話なんて、ラストはコレばっかりだぜ」 はう! それなら、私もよぉーっく知ってるわ。 メルヘンな童話の王道展開。 どんな難局も、それひとつで強引にハピエンに持ち込めるという、完全ご都合主義のアレのことよねっ。 王子様のキス……!
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