43人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
「あっ、旨い!」
「でしょ、でしょ! 美味しいでしょ?
宗次郎さんのお汁粉は、めちゃ美味しいでしょ?
葵ちゃん特製『柿羊羹』も召し上がれー」
「うひゃー! どっちも、うめぇー!」
満面の笑みで、お膳に並べられた和菓子を口に運んでいくタフィの様子に、私も口元がほころぶ。
やっぱり、とても上手に匙や楊枝を使うのよねぇ。蹄なのに。
一時はどうなるかと思われたケモ耳事件だったけど、あっさり解決した。
とらさんがやらかした強引なディープキスを間近で見ることになったタフィが沸騰するほど興奮しちゃって、魔力を解放しかけたの。
とんでもない轟音と熱風と白煙は、そのせいで出現した。
でも、それがおさまった後、私と十蔵さんは元の姿に戻ってた。
ほんと良かった。
とらさんが、タフィのお師匠(イケメン魔法使い)に私を治してもらうのを『どうも気に入らん』って理由で始めたディープキスが、意外にも棚ぼた効果だったってわけ。
人型のタフィ。一瞬だったけど、煙が消え始めた時に少しだけ見えた。
白煙の中に立つタフィは、ヒツジちゃんの見た目から、黒髪の男の子に変化してたわ。
とらさんが言った通り、私と十蔵さんにくっついてたケモ耳と同じ、黒毛の耳もついてた。
私たちについてたケモ耳は黒っぽかったから、ロバの耳と勘違いしちゃってたけど、ちゃあんとタフィの本体と同じ姿だったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!