1 嘘でしょ! ヒツジっ?

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「ととととっ、とらさん! どうしよう。ケモ耳なファンシー奥さんでも、ちゃんと好きでいてくれる? あとあと、このヒツジちゃんとも一緒に暮らしてくれる? ねぇねぇ! ケモ耳だから離婚するとか言わないでね? お願いよぅ!」 「うおっ!」 ヒツジちゃんを抱っこしたまま、とらさんにぶつかるようにボディーアタックをかました。 ああぁ、ほんとどうしよう。 どういうわけか、お子ちゃまな女子高生の私を好きになってくれた、物好きなとらさんだけど。 このひと、私と出逢う前は、色っぽい芸者さんとばかり浮き名を流してきた、百戦錬磨な色事師なのよ? そんな、とんでもエロイケメンが、ファンシーなケモ耳女子と普通に夫婦生活してくれるかしら? まさかとは思うけど、無理って言われたら、どうしよう! 「わぁーん! とらさぁぁん!」 一気に涙が溢れ出してきた。 ――――三月。 冬の名残の雪と、ようやく訪れた春を実感させてくれる()の温もり。 一見、相反するそれらが混在する、早春の朝。 印象派の巨匠が描き出したかのような美しい風景をバックに、モフモフとケモ耳と涙と絶叫とが合わさったカオスなファンタジー世界が、私たちの前に(どういうわけか)突如出現していた。
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