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 シルエットからすると、恐らく紗月。しばらく部屋で何かしていたようだが、やがてふっ、と明かりが消える。腕時計を確認すると、十二時を回っていた。居間は未だに明るく、朱雀は小さく首を傾げる。  こうして夜に監視を始めて三日目。  凪子の予想通り、父親は毎日七時過ぎにスーツ姿で帰ってきた。朝が早いのか、大抵十一時までには寝てしまうのに、今日に限って一向に寝る気配がない。随分宵っ張りだと思っていると、父親らしき人影が居間を出て行く。すぐに玄関に明かりが点き、そこから父親が現れた。  いつの間に着替えたのか、水色の袴姿になっている。  息を詰めて見守る朱雀の目の先で、神主姿の父親は社殿の裏手に消えて行った。  それからしばらくは何も動きがなかったのが、二時前になって、鳥居の前に黒塗りの高級車が横付けされ、初老の男と黒いスーツの男が降りる。二人は連れ立って鳥居を潜り、見計らったように出迎えた父親に案内されて社殿に入って行った。  朱雀は社殿の様子を窺うように見つめていたが、ふと鳥居前の車に目を移す。  運転手が車を降り、ドアに凭れて煙草に火を点けるところだった。 「こんばんは」  にこりと笑みを浮かべて挨拶すると、男は目を眇めて胡散臭そうに見返した。     
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