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「あら。あそこの巫女は霊媒だって椚さんが言ってたから、ご用向きは政局っていうより政敵ってとこかしら」
意地の悪い笑みで凪子が言うのに、朱雀は興味のない顔で肩を竦めた。
「でも、今日が面会日なら、こっちは空振りかしらね」
言いながらバスケットを漁って紙ナプキンに包まれたサンドイッチを取り出し、大きく齧りつく。
もぐもぐと頬を膨らませて咀嚼しながら、小さく首を傾げて考えた。
朱雀が張り付いている間、来客は一人。この時間で、次がいるとも考え難い。そう長く話し込むこともないだろう。
そうなると、その後に仕掛けてくる可能性もあるが、確か霊媒は体力の消耗が激しいと聞いた。
果たして獣を操るほどの霊力があるかどうか。
サンドイッチを平らげて、ぺろりと唇を舐める。
「さて、鬼が出るか、蛇が出るか」
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