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千年を生きてきた二人の男に挟まれて、凪子は何だか不思議な気持ちになった。
頭上を覆う小さな光の中に、千年前のものはあるだろうか。
そう考えて首を傾げる。
そもそも、今見ている光は、すべて過去の光だ。
北極星だって、周期的に違う星が成り変わる。
千年前からずっとそこにあり続ける星は、本当はないかもしれない。
けれど、『星』と呼ばれるものは変わらずそこにあって、誰に顧みられることがなくても、静かに輝き続ける。
「―――― 人間ってちっぽけね」
ぽつりと零した凪子に、二人の男が目を向けた。
一人は怪訝そうに眉宇を寄せ、一人は怜悧な瞳に呆れの色を載せる。
「何を今更」
「どうした急に」
「何でもない。帰るわよ!」
妙に気恥ずかしくなって、凪子は大股で歩き出す。
その様子に陸王と朱雀は顔を見合わせて肩を竦め、ゆったりとした歩幅で後に続いた。
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