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5
廣中の研究室前の明かりは、やはり切れたままだった。
ノックをすると、中からくぐもった返事が届く。
「失礼します」と告げて部屋に入ると、前と同じように何か書き物をしていた廣中が顔を上げて、おや、という顔をした。
「ええと、確か、沢村美羽さん、だっけ。ああ、どうぞ」
立ち上がりながら言う廣中に会釈をした美羽は、勧められた椅子を断り、ドアの前に立ったまま口を開いた。
「お聞きしたいことがあるんです」
廣中は首を傾げる。
「何かな」
きらきらと周囲を漂う埃が妙に眩しく感じ、廣中は目を細めた。
ドアの前は薄暗く、そこにいるはずの美羽の姿が見え辛い。
「以前仰ってた、知り合いの霊媒師ってどなたですか」
「霊媒師?どうしてそんなことを……」
室内を舞う光の粒が大きくなり、廣中の視界を埋め尽くそうとする。
「教えてください。――――― 霊媒師って、誰ですか」
ちらちらと踊る光に視界を占領され、頭もぼんやりとしてきた廣中はゆるりと首を振る。回転の緩くなった脳は、深く考えもせずに口を動かした。
「―――― 僕の幼馴染だ。稲庭嘉月。八風神社の長女」
「幼馴染?廣中先生、お住まいは神社の近くですか」
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