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燦々と照りつける太陽がアスファルトを焼く。触れたら恐らく火傷してしまうだろう。けたたましく響く蝉の声が、ただでさえ暑い気温を上げているような気がする。夏が今年もやって来た。
私は右手に氷の棒アイスを持ってなるべく日陰を歩いていた。日焼けしないように気遣ってはいるのだけれど、避けきれない日差しのおかげですっかり肌は小麦色だ。
「あつい…」
アイスを持っている右手の腕で頬を伝う汗を拭った。ぬるついた汗を拭った肌はペタペタと粘りついていて不快だ。早く家に帰ってシャワーを浴びたい。
重たい足を動かして進んでいると、木陰の下にある人影が見えた。木によりかかりながら休憩しているようだ。視線は空を見上げている。きっと晴れ晴れとした空とギラギラと輝く太陽が忌々しいのだろう。私にはわかるよ、その気持ち。
ゆっくりと歩み寄って声をかけた。
「おつかれさま。暑いね」
こちらに気づいた人影がダルそうに返事をした。
「あぁ、お前か。全くもって暑いよ。いつから日本は天然のサウナを導入したんだ?」
「本当に。道端の電信柱に扇風機でもつけたら画期的だと思うんだよね」
「言えてる」
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