平穏な日常

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平穏な日常

 この世は、犯罪で溢れ返っている。毎日毎日、何かしらの犯罪が取り上げられる。 殺人、テロ、そしてドラッグ。人々はその日常が当たり前となり、違和を感じなくなっていた。  私はこの世界が好きであった。憎悪に満ちたこの世界が。何をやっても許され、犯罪によって争う人間達を見ることが何よりも好きであった。  しかし、ある日を境に、私の日常が崩壊した。犯罪を善しとしない組織が立ち上がったのである。それが、「特別犯罪取締捜査官」たちの存在である。 彼らは政府に依頼され、片っ端から犯罪を取り締まっていった。私たち国民はそれが気に食わなかった。 ある時、私たちは一致団結して、この組織の壊滅を試みた。しかし、一度目は失敗に終わった。私たちの仲間の何人かは政府に捕まった。それでも、諦めることができなかった私たちは彼らをこちら側に引きずり込もうと企んだのだ。  捜査官たちの話を聞いていると、彼らも不満が積もりに積もっているではないか。 「これは勝てる!私たちにあのスリルある日常を」 私たち国民と組織の人間が協力をして「特別犯罪取締本部」を襲撃した。 今度こそ作戦は成功し、私たちに日常が戻ってきた。いつも争い合っている国民たちが、ここまで協力出来るとは思っていなかったが、犯罪がなくなることの方が、私にとっても国民にとっても耐えられるものではなかったのだ。 こうして、犯罪が蔓延る世界に戻り、私にも平穏な日常が戻ってきた。 今日も人々の憎しみに合う姿を肴に、いい薬を使えそうだ。 ※この物語はフィクションです。 決して作者は犯罪を助長している訳ではございません。
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