こどものミカタ
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虫の音ひとつもしなかった。だから、暗闇の中でその音はよく響いていた。 田舎の山奥。当然のことだが、日付も変わったこんな遅い時間帯に出歩く人などいない。 その生き物は無我夢中で食らいついていた。 人間の皮膚は思ったより硬く、引き裂くのにだいぶ時間はかかったものの、ようやく腸の一部分に辿り着いたようだった。 生き物は、長いあいだ満たされなかった飢えを満たすように、必死に人体を
貪
(
むさぼ
)
っていった。
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