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「ちょっと感じを変えてみてもいいかなって……いわゆるイメチェンってやつです」
そう言って、また悦子は微笑んだ。その微笑みはどこか自信に満ちていて、恵梨香自身初めて見るような表情だった。
だから、愛美が表現した"別人"という言葉が、恵梨香にはとてもマッチして聞こえた。
「いや! すんごく似合ってますよ! ねぇ? 瑠衣ちゃん?」
愛美は興奮気味で瑠衣の方を向いた。しかし、瑠衣は何も言わずに母親の元を離れ、愛美に顔を埋めた。その様子に愛美は微笑んだ。
「あれ? どうしたのかなぁ? ……ふふ、お母さんいきなり綺麗になったから、びっくりしちゃったのかなぁ?」
──いや、違う。
恵梨香は心の中で否定した。
なぜならば、小さな身体は愛美にしがみつきながら、微かに震えてみえたのだ。
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